過去に東京バーバーズ(TB)のショウに出てくれたゲストカルテットは、いずれもBHSバーバーショップハーモニーソサイエティのカルテットチャンピオンか、それに準ずる実績を持った素晴らしい人たちばかり。中でもとりわけ強い印象を受けたのはMusical Island Boysミュージカル・アイランド・ボーイズ(MIB,ニュージーランド)、2013年第8回ショウのゲストです。
彼らはアテンド役の私のことを、本番前から「チーフ、チーフ」と頼りにしてくれ、練習後のアフターグロウ(打ち上げ)でも実に愉快な時間を過ごしました。リードのLusa(愛称、=Marcellus)に、「ちょっと代わって」と頼み込み、残りの3人と一緒に「Once Upon A Time」を歌ってもらったことは、私の人生の宝物です。この上なく歌いやすかった!幸せでした。
第8回ショウ打ち上げにて、「Once Upon A Time」を歌う。投稿者北Gは、左から2番目。 MIBが北Gのリードを立ててハモろうと、気を使ってくれている様子がうかがえる。 みんなちゃんと、チラチラとリードを見てますね。カルテットはこうあるべきだと思います。
Nightlifeは1996年のSPEBSQSA国際大会の優勝カルテットです。四人とも協会トップ・コーラスの一つMasters Of Harmonyで、パート・リーダーをつとめ、この年にはコーラスも優勝してダブル・タイトル獲得で話題になりました。来日時点では優勝後10周年、結成以来不動のメンバーで活動を続けていた結束力の強いカルテットでもあります。
米国内外で多くの公演をこなしていますが、来日は2005年の東京バーバーズ(TB)・ショウが初めて。
(注)SPEBSQSAはSociety for the Preservation and Encouragement of Barber Shop Quartet Singing in America, Inc. (アメリカ バーバーショップカルテット歌唱 保存 奨励協会)の頭文字。 Barbershop Harmony Society =BHS バーバーショップハーモニーソサイエティの、発足当初の名称。
2005年第4回ショウチラシ表面
TBとの出会いは、メルボルンで行われた2001年の環太平洋バーバーショップ大会。例によって打上げのロビーで歌っていたTBを気に入って、一曲歌い返してくれました。その時買ったCDの”One Moment In Time”にTBメンバーがゾッコンほれ込んだのが、招聘のキッカケです。
東京バーバーズの現客演指揮者であるロジャー Roger Ross も、合宿で時々タグを4パートをパート毎に歌って、口移しで教えてくれますが、前客演指揮者のゲィリイ Gary Steinkamp も、タグを幾つもTBに残してくれました。コーラスの練習の始めのウォームアップで使っている”My Mom”も確か、ゲィリイが教えてくれた中の一曲です。
そこへバーバーショップスタイルとの出会いが。それは大学(クラブ)の後輩によって2018年11月、彼らの定期演奏会のステージにもたらされた。題して、”Everyone In Harmony” 今はわかる、BHSバーバーショップハーモニーソサイエティのモットーそのまま。「おー、カッコイイね!」「楽しそう。」客席でシンプルに喜んだものだ。バーバーショップハーモニー、やってみたい。
私は学生時代に男声合唱を、40代半ばからは地元の所沢で男声合唱団「所沢メンネルコール」(TMC)で歌っていて、早速TMCの同年代のメンバーに声をかけカルテットを組みました。「Campanula」というなんとも似合わない名前を付け、とにかくバーバーショップコーラスの愛唱曲集「Barberpole Cat Song Book」12曲を制覇しようと練習しました。
この環太平洋大会では、東京バーバーズはI Can’t Give You Anything But LoveとMoonlight Brings Memoriesを歌い、21コーラス中の8位。オーストラリアのバーバーショッパーからは「たった15人でここまで出来るのは凄い。自分たちも人数が少ないことに甘んじていないで、もっとレベルアップしなければ」と面白い褒められ方をしました。
バーバーショップのコンテストでは、一般的に一曲目はバラードを歌い、息の切れるアップチューン(速いテンポの曲)は2曲目というのが常道ですが、一曲目にI Can’t Give Youを持ってきたのはゲイリィのアイデア。「審査員を含めバーバーショッパーの間で良く知られているMoonlight Brings Memoriesより、比較的新しい曲であまり知られていないイントロのついているI Can’t Give You…の方が、審査員が曲名が分かるまでジックリ聴いてくれるので、高得点を取りやすい。」というのが、ゲイリィの考えた審査員との駆け引き。カルテットやコーラスでコンテストの常連であり、ご自身もBHSの公認審査員の資格を持っている人の考えていることは、流石に違うと思いました。 /by Kaz
因みに、ロイドさんは、東京バーバーズの愛唱曲の一つOver The Rainbowの編曲者で、大会会場となったホテルのロビーでロイドさんを囲んで、この歌を歌ったのも良い思い出です。
この国際大会、WHJではOver The Rainbow、遥かな友に、Bad Buncha Boys(悪ガキどもの歌)の三曲を歌い、Decrepits’ Breakfastでは、Hello Mary Lou等を歌っています。一曲目のOver The Rainbowの歌いだしはテナーのソロなので、参加15人中の唯一人のテナーだった上野さん(故人)は、ものすごく緊張したそうです。(Kaz 松村)
Standing Room Only – From the First Hello to the Last Goodbye 右端がGary Steinkamp氏。