過去に東京バーバーズ(TB)のショウに出てくれたゲストカルテットは、いずれもBHSバーバーショップハーモニーソサイエティのカルテットチャンピオンか、それに準ずる実績を持った素晴らしい人たちばかり。中でもとりわけ強い印象を受けたのはMusical Island Boysミュージカル・アイランド・ボーイズ(MIB,ニュージーランド)、2013年第8回ショウのゲストです。
それよりさかのぼること数年前、私がMIBを知ったのは、クライストチャーチ(ニュージーランド)での音楽イベントに彼らが出演したのを数回聴いたことでした。2004年から約15年にわたり、毎年5ヶ月ほど滞在(ロングステイ)していた私が最初に会った時、彼らはまだ学生だったかも知れません。その上手さにただただビックリ!
その後、当時私が毎週歌っていた地元のバーバーショップコーラス「Canterbury Plainsmen」の2012年クリスマス・コンサートに、なんとMIB と、Ringmastersリングマスターズ(RM,スゥエーデン)がゲストとして来てくれたのです。MIB はバーバーショップハーモニーソサイエティ国際大会で2位を連続して獲得、RMの方はこの年カルテットチャンピオンになっており、まさに世界ナンバーワン・ツーの組み合わせに聴衆は大絶賛、盛り上がりは最高潮でした!!
私も主催者側の一員として、空港に両カルテットを迎えに行き、ともに仲良くなりました。この時すでに、翌年のゲストカルテットにMIBを招くことが決まっていたので、彼らとも日本やTBについて、あらかじめさまざまな予備知識を伝えることができました。
そしていよいよ2013年の日本へ、第8回ショウの回想です。
ゲストのMIBは他の3人が先着、ベースのMattだけは、あのRingmastersを応援しにヨーロッパへ行き、ぎりぎりのスケジュールで来日したため、私は遅れて来たMattを出迎えに行きました。空港からのバスの中でMattは、「MCは自分たちが日本語でやる、原稿はニュージーランド人の【先生】に翻訳してもらった。」と言うので見てみると、これが何ともハチャメチャな日本語。走るバスの中慌てて直し始め、ホテルに着いてからも手直しと発音指導を繰り返しました。Mattは実に練習熱心。ケータイに録音してその後も練習を続けたのです。
その甲斐あって、本番では見事なトーク。若々しく粋の良い彼らのパフォーマンスと、素直で素敵な人柄に、聴衆はすっかり魅了されました。とくに、民族独特(Mattはニュージーランド先住民のマオリ系、あとの3人はサモア系)の柔らかく甘い声、絶妙のハーモニーは素晴らしいの一語でした。
彼らはアテンド役の私のことを、本番前から「チーフ、チーフ」と頼りにしてくれ、練習後のアフターグロウ(打ち上げ)でも実に愉快な時間を過ごしました。リードのLusa(愛称、=Marcellus)に、「ちょっと代わって」と頼み込み、残りの3人と一緒に「Once Upon A Time」を歌ってもらったことは、私の人生の宝物です。この上なく歌いやすかった!幸せでした。
翌2014年7月、MIBはついに、BHSバーバーショップハーモニーソサイエティのカルテットチャンピオンになりました。私の人生に宝物をくれた、すばらしい彼らが世界チャンピオン。本当に良かった!! すぐ次の8月、TBは第7回環太平洋バーバーショップ大会(ウェリントン、ニュージーランド)に参加、私は現地でホスト役のMIBメンバーと再会を果たし、熱いハグを交わしたのでした。
最後にもう少し、2012年クライストチャーチの空港に戻りましょう。クリスマス・コンサートのゲストにRingmasters(RM)を迎えに行った時のことです。
私を日本人と見るが早いか、バリトンのEmanuelは「いってらっしゃ~い」「いただきま~す」といった日本語で話しかけてきました。聞けばEmanuel、宮崎アニメで覚えたそうで、改めて日本アニメの影響力には恐れ入りました。
テナーのRasmus は、両親と横須賀に住んでいたことがあると言って「さくらさくら」を歌い出し、私もハーモニーを付けて唱和し、一気に親しみが増したものです。
その後RMもTBの2017年5月第10回ショウのゲストとして、さらに2018年5月TBとの特別ジョイントショウで、同じ2018年9月、スゥエーデンのバーバーショップ・コーラスチームZero8のメンバーとして頻繫に来日、毎回すばらしいパフォーマンスを披露してくれています。
(Kit 北G 北島)