<Glossary>
英和辞典にも出ていない(?)バーバーショップ英語を幾つか集めてみました。
Afterglow
原意は「残照」のことですが、バーバーショップでは、演奏会等の打上げのこと。
東京バーバーズにも練習毎に居酒屋でアフターグローにイソしむ連中が居ります。
Barberpole Cat
床屋さんのシンボルの赤白のネジリン棒の上に笑顔の猫の顔が載ったバーバーショップ・ハーモニー協会のマスコット。
Break a leg
バーバーショッパーがコンテストの出番前に掛ける激励の言葉。
意味は教えてもらったものの、永いこと何故こう言うのかは分からなかった。何で足を折って来いっていうんだろ。ウサギの足をお守りにするというから、それと関係があるのかな。
先日、東京バーバーズにご夫妻で見学に見えたGautさんが、その訳を以下のように教えてくれた。
話はビクトリア朝時代に遡る。舞台の幕は木製の脚で支えられていたのだそうな。良い舞台をつとめ何度もカーテン・コールを受けて来い、カーテンの脚がカーテンの上下の繰り返しで折れる程に。というのが語源だとのこと。
「足」ではなく、「脚」だったんだ。納得。
Buy matching socks
バーバーショッパーたちがお互いに決意を固め、本気でカルテットを組もうと誓い合うこと。
「お揃いの”靴下”を買う」というのが伝統的な表現で、コミットの度合いは靴下一足程度と軽い処がミソ。
Delayed Entrance
練習に遅刻した人のための入り口、ではありません。歌い方に変化をつけるため、一つのパートがフレーズを普通通りに始め、他の3パートが数拍遅れて入ることを言います。
編曲譜に指定されている場合と、編曲譜を自分たちのグループで、更にカストマイズする場合、いずれもありです。
Diphthong
この単語の発音と意味を既にご存知の方には、当グロッサリーは不要です。 発音は、ディフソン。バーバーショップを歌う上で避けて通れない「二重母音」のこと。
バーバーショップを歌う上で重要なBaby, Sing, Smile, Heartなどは、いずれも二重母音があるので、ご注意を。
尚、n, m, l, rなどは、singable consonantといい、日本語で言えば「半母音」、母音の仲間としてキッチリ歌い分けておかないと、聴き手には届きませんから、要注意。
Embellishments
バーバーショップ・スタイルを特徴付ける編曲要素のこと。
バーバーショップ・スタイルの最大の特徴とされる(下記に述べる)SwipeもEmbellishmentsの一つですが、協会の編曲マニュアルにはこの他、28種類の編曲要素が解説されています。
また、このコラムで説明しているDelayed Entrance, Patterなどもそうですし、Tagも重要なEmbellishmentsの一つです。
本場のコンテストでは、評価要素としてこれらの編曲要素を如何に効果的に(バーバーショップの伝統を踏まえて)使用するかも採点の重要なポイントとなります。
Expanded sound
和音が上手く揃って、倍音が拡がりをもって鳴り響くこと。
全てのバーバーショ ッパーは、この一瞬が少しでも永く続くように練習に励むのです。まあ協会内でもこれをコヨーテの遠吠えなどと揶揄する声もあるようですが。
Goosebump Time
グースバンプとは、鵞鳥の素肌、即ち鳥肌のこと。従って「鳥肌の時」とは、 本当に見事に和音が鳴ったときのことで、上記のExpanded Soundの極致のゾクゾクする感激のことをいいます。
Lock 和音がピッタリ揃ってハモること。
Patter グリーンの上で使うゴルフのクラブのことではありません。
これもバーバーショップでよく使われる編曲テクニックの一つ。一つの声部がストレートにメロディを歌い、他の3パートがリズムを細かく刻んで歌います。
Pole Cat Songs
協会のマスコットの名を冠した愛唱曲集に収録されているHeart Of My Heart, My Wild Irish Roseなどの一連の歌。
世界中の協会メンバーが何時、何処で出会ってもハーモニ ーを楽しめるよう、協会が選曲した10曲程の共通レパートリーですが、バーバーショップ・ハーモニーの勘所を押さえて選曲されており、本気で歌えば奥が深いハーモニーを楽しむことが出来ます。
Side Street Ramblers, 139th Street Quartet, Gotcha!などは国際大会のカルテット・コンテストでも、ポール・キャットを歌って聴衆を唸られています。
Ring (ハーモニーが)鳴り響くこと。”Ring a chord”などと使われます。
Riser コーラスで使用する組み立て式の山台。
米国の各支部ではPeery社とWenger社のRiserというのが使われており(前者はchoir rizer、後者はchoral riser)、支部の練習はこの山台を倉庫から出して組み立てるところから始まります。一般的には3段型でステップの広さは18inch(46cm)x6ftで台形になっており、横に繋いでいくと自然に弧を描いてハモリやすいコーラス・ポジションが形成されます(写真はWengerのchoral riser)。大きいコーラスでは3段の後ろにもう一段追加の山台を追加しています。
東京バーバーズでは、Indy2006で、現物をチェックする機会のあった、Peery社のライザーを購入しました。日本初登場は、2006/8/27の雅叙園のアカペラ・ショウとなります。
練習が終わって解散するときに”See you on the risers.”といえば、「次回の練習でまた会おう」というバーバーショッパー達の別れの挨拶。
また、コーラスによっては暗譜が出来てキチッと出来上がってからライザーに上がって歌う、というところもあるようで、レパートリーになった曲のことを「ライザー」(の上で歌えるまでに仕上がった曲)と呼ぶケースもあります。
Swipe バーバーショップ・スタイルを特徴付ける編曲要素の一つ
バーバーショップ・スタイルには、独特のパート構成の他、ア・カペラでセブンスの 和音を多用する等の特徴があるが、このスワイプも多用される特徴の一つ。 フレーズの末尾で和音を動かしてハーモニーの変化をこころゆくまで楽しみます。
Tag 原意はご存知のように、「荷札」。
但し、一寸詳しい辞典なら「劇などの納め口上」「(歌・詩の)最後の数行」等と出ているから、こちらの方が分かりやすいでしょうか。
バーバーショップの編曲の、和音に工夫の凝らさ れた、曲の最後の部分のことをいう。スワイプ等も多用され、ハーモニーを手っ 取り早く楽しむには一番美味しい部分です。
Temple Of Our Hobby
「我々の趣味の殿堂」とは、WoodsheddingやTag、そしてPole Cat Songなどを歌うインフォーマルな演奏の場(例えば大会やショーの演奏会場の外のロビーなど)のことをいう。コンテストではライバルでも、歌い終わればラグビーでいうノーサイド。バーバーショップの仲間に戻って、共にハーモニーを楽しむ。バーバーショップのいわば原点でしょう。
New Tradition Chorusに入って初めての地区大会に参加したとき、ベースのSteveから「応用がきかないと、一晩中一つ覚えの”Heart Of Heart”を歌って過ごす事になるぞ」とからかわれた事を思い出します。カンザスシティやモントリオールの国際大会や、ハワイ、メルボルンの環太平洋大会に参加した東京バーバーズの面々にも、夜更けまで歌い明かした覚えのある人は多い。
Tin Pan Alley バーバーショップの編曲の元歌の宝庫がTin Pan Alley Songsである。そのまま訳せば錫鍋横丁。そのいわれについてはコチラ。
Vowel Matching
母音を揃えること。
日本でも合唱の指導で母音毎の響きの違いが指摘されますが、バーバーショップでは、更に同じ母音でも口(及び口腔)の形を揃えることでピッチが揃い、高い精度のハーモニーを作り出せると指摘されています。
協会からは”Vowel Target Charts”という標準的な口の形を示すチャートが販売(#5908)されています。因みに、このチャートのモデルを務めたBill Myersは撮影当時は周りに大分からかわれたそうですが、その後1998年にRevivalのベースとしてカルテット・チャンピオンに輝いています。
Woodshedding
「ウッドシェディング」とは、バーバーショップ・ハーモニーの原点である、楽譜(編曲譜)によらないバーバーショップ・ハーモニーです。
まず、リードが皆の知っているメロディを歌い、これに他の3パートが思いおもいに自分の感覚でハーモニーを付け足していく、伝統的な編曲手法。バーバーショップ・ハーモニー協会の中にAHSOWという同好会があります。
e-東京バーバーズより