スゥエーデンはバーバーショップが熱い!!~こんなに頻繁に来てくれて、その経緯は?(対談)

(栗本)

 東京バーバーズ(TB)第10回ショウは、Ringmasters(RM)をゲストに迎えて、2017年5月7日(日曜日)東京文化会館大ホールで行われ、翌日スクエア荏原でRMを聴く会アフターグロウ(AG,=打ち上げ)が開催されました。

スゥエーデンラッシュの最初となった、東京バーバーズ第10回ショウチラシ

 

翌2018年4月26日(木曜日)に目黒区民ホールでTB主催RMショウ。こちらは スゥエーデン 大使館の招請で来日。

1年足らずでの再来日となった、日本=スゥエーデン外交樹立150年記念イベントとしてのスペシャルショウチラシ

 2018年9月2日(日曜日)にTB主催でZero8ショウat渋谷さくらホール。  

 耕友会(リンク)の招請で来日。 カルテットはZero8のメンバーで構成されたLemon Squeezy(スゥエーデン)。

軽井沢国際合唱フェスティバルのサテライト公演、Zero8フェアウェルコンサートチラシ

 

この両年は遠いスゥエーデンから頻繫に来日、まさにスゥエーデンづいていました。

(松村)

 2018年のRM来日は、前年2017年の荏原でのショウAGに、スウェーデン大使をご招待したのがキッカケだったと思います。確か近くの警察から、スウェーデン大使警備のための問合せがあったか、こちらから問い合わせしたような。

(栗本)

 そうです。

 大使館に10回ショウの協賛を申し入れしてはとのアイデアは荻野さん(TBメンバー)からで、一緒に大使館へ行って頂き、話し合いは上手く行きました。

 そしてプライベートな会(AG)当日(2017年5月8日、月曜日)は平日でもあり、お見えにはならないだろうと思いながら招待状を大使館まで持参したのですが、その後秘書から、「公用車で行くので、駐車場の状況とか会場のセキュリティなどの問い合わせ」と、「大使到着の際にはお出迎えをよろしく」などの連絡があり、当日は会長のマーフィー(吉村)と玄関前でがん首揃えてお待ち申し上げました。さすがに公用車の スゥエーデン 国旗こそ、巻かれてカバーがかかっていましたが、立派なリムジンが横付けされました。

 荏原警察署には、マーフィーにお願いして何か届け出が必要か事前に問い合わせをしましたが、特に何もありませんでした。多分大使館側から連絡したら、大騒ぎになったのでは。

 スゥエーデン大使がAG会場に入られた時には、他のお客様は立ち上がって静かに拍手し和やかな雰囲気と共に、どなたが準備されたのか、皆さんの顔には スゥエーデン国旗の写し絵が貼られていました。

 その前にRMの楽屋に案内し歓談している時、Rasmus(Rasmus Krigström ラスマス クリグストロム、テナー/リード)に大使が「来年(2018年)日瑞(日本=スゥエーデン)外交樹立150周年の記念行事をやるんだけど、ゲストとして来てくれる可能性はあるかなあ。」と言い出し私の顔も見るので、こりゃチャンスだけど対応は慎重にと思い、「彼ら(RM)次第ですし、TBとして再度招請の予定は無いが、来ることが決まったら、何かとお手伝いする用意はあります。もちろん直接連絡をお取り下さるのが当然です」と答えました。

 要はTBが又招請する等可能性を問われた訳で、とてもそこまでの余裕や考えは無かったのです。

 Rasmusからはあれこれ相談のメールが届き、経験を元に応対していましたが、

数ヶ月後Rasmusから「アドバイスどおりに応対していたら、大使館からあご足付き(=交通費・食費一切大使館側の負担)で招待が決定したと」言って来ました。

そこに到る間にTBとしてはライブの会場探しを始めていました。

耕友会関連リンク:東京国際合唱機構

タグ・マスター「口伝が大切」~バーバーショップタグにまつわるエピソード

 Nightlifeのベース、ブレット(Brett Littlefield)は、苗字のLittlefieldから想像されるのと違い6フィート(≒183cm)以上の巨漢ですが、ショウの前日TB(東京バーバーズ)のゲネプロに来て、挨拶代わりにNightlifeで一曲歌った後、TBに一生懸命タグを教えてくれました。一人で4パートすべてを歌い、コーラスに口伝えで教えてくれたのです。

 「タグ」というのは、荷札という意味の英語ですが、バーバーショップでは、曲の最後のハーモニーが凝縮された部分のことで、色々なタグを覚えることは、そのままハーモニーを豊かに響かせる「引き出し」を増やすことになるので、カルテット、コーラス共に貴重な財産です。

タグが好きな人は、心底、バーバーショップハーモニーが好きで、そのハーモニーを味わう喜びを、いつも分かち合いたいと願っていて、幾つものタグの4パートを一人で全て覚えていて、機会を狙っているのです。こういう人たちを、タグ・マスターと呼びます。ブレットも、その一人でした。

 TBの客演指揮者であるロジャー(Roger Ross)も、合宿で時々タグを4パートをパート毎に歌って、口伝えで教えてくれますが、前客演指揮者のゲィリイ(Gary Steinkamp)も、タグを幾つもTBに残してくれた筋金入りのタグ・マスターの一人でした。コーラスの練習の始めのウォームアップで使っている”My Mom”も確か、ゲィリイが教えてくれた中の一曲です。

 ゲィリイのタグ好きは想像を超えていて、タグを教えて貰っている時に、TBメンバーのひとりがそれを譜面に書こうとして、手元の紙に五線を引いて聴いた音を採譜しようとしていたら「ダメ、タグは耳で憶えるもので、楽譜から憶えるものではない。」と厳しくられました。バーバーショップでは、”Ear Singing(耳で聴いて憶えて歌うこと)”が、”Sight Singing(楽譜を見て歌うこと)”よりも大切だとされているのです。「平均律のピアノから音を取るのではなく、純正律で歌っている上手い奴から聴いて憶えろ」という訳です。

 ゲィリイのタグ好きを痛感したのは、彼がテナーを務めるカルテット、Finale をゲストに招聘した第三回ショウの後、ホテルに帰ってからのこと。ショウの会場が後楽園近くの文京シビックホールだったので、当時のTBメンバーのツテで、後楽園の東京ドームホテルにカルテットご一行様と担当添乗員で、宿泊した時のことです。

 ショウの打ち上げの後に、ホテルに戻ってレストランでFinaleが歌っていたら、レストランのマネージャーに「お客さま、周りのご迷惑になりますので」と追い出され、どうするかと思ったら、その先のエレベーター・ホールで、人のいないのを見計らったゲィリイが、Finaleの他の3人に延々とタグを教えていました。

 何時まで経っても終わりそうにないので、30分ほど付き合ってこちらは自分の部屋に引き上げましたが、カルテットが文句も言わずに、次々とタグを教わっている姿には、3人ともカルテットでメダルを取ったのに、こんな夜中まで向上心を忘れないんだと、感銘を受けました。

 しかし、そのゲィリイを上回るタグ・マスターがいました。ゲィリイがTBを指揮した最後の年2009年、ゲスト・カルテットは Keepsake 。そのベースのドン・バーニック(Don Barnick)が、飲み会の席だったか、タグを次々と披露して皆に教え(勿論、4パート全部を一人で)、あのタグ・マスターのゲィリイが、それを大人しく聴いているのです。いやあ、上には上があるものだと、その時には本当にびっくりしました。

 ちなみにドンは、先に述べた Keepsake のベース、TB指揮者ロジャーが、1992年に初めての金メダリストになった時のチームメイトですが、それより前の1979年には、 Grandma’s Boys カルテットのテナーとして金メダリストになっていました。BHSバーバーショップ・ハーモニー・ソサイエティの世界広しといえども、一番上のパートと一番下のパートで金メダルを取ったのは、この人だけです。

(Kaz 松村)

私の入団エピソード

個人的に思い出すままに。

ロンドン駐在から帰国して、プロのピアノトリオの伴奏付きで、ジャズコーラスをカルテットで
ピアノバーなどで歌って楽しんでいましたが、
バーバーショップを多人数で歌っているコーラスがあるらしいから見てきて、とリーダーに言われて 
偵察に江東文化センターでの東京バーバーズの練習を拝見に行きました。2003年のことです。

それまでバーバーショップは、カルテットでやるものと思っていたし、自分もその経験しか無かったので、ヘエーこんなコーラスがあるんだあと不思議な物を見た気持ちでした。しかも振りが付いてる!!
自分が想像していた物とはかなり違う本場物と思いました。

振りが付く部分には些かの戸惑いはあったものの、その場で入団を申し入れたものです。

私の報告を聞いたリーダーは、「何だもうミイラになっちまったのかえ!(笑)」(GEO 栗本)