ゲイリィ・スタインカンプ(Gary Steinkamp)さんのこと ①

ゲイリィ・スタインカンプ(Gary Steinkamp)さんは、1999年から2009年まで、コーチ、そして指揮者として、東京バーバーズをバーバーショップ・コーラスとして育ててくれました。

ゲイリィが東京バーバーズに関わることになったのは、東京バーバーズが初めて参加した海外イベント、ハワイで行われた1998年の環太平洋バーバーショップ大会で、9コーラス中の8位になって、審査員のハンク・ハマーさんから「楽しめる歌い方だったが、バーバーショップらしい響きがしない」と指摘されたことがキッカケです。

当時の東京バーバーズ会長の結城さんが、この少し前までハンクと同じバーバーショップ・ハーモニー協会(Barbershop Harmony Society: BHS)ハワイ支部で肩を並べて歌っていた仲間だったので、誰かよいコーチを教えて欲しいとハンクに頼み込んで紹介して貰ったものです。

紹介されたゲイリィは、BHSの国際大会のカルテット・コンテストで3位になったStanding Room Only(SRO)のテナーで、地元フェニックスのコーラスの指揮者もしており、BHSのコンテストで審査を行える公認審査員でもある実力派です。

第1回目は、成田空港からほど近い佐倉公民館で、8月に一泊二日の合宿。ウォームアップのやり方から、発声の基本的な考え方やハーモニーの作り方、それに簡単な振付まで、当時のレパートリー6曲についてコーチして貰いました。

第2回は、同じ年の10月に、各パート間のバランス、Sing Tall(姿勢は背筋を伸ばし、口の中を縦に開く)、歌詞のさばき方(単語の中の母音を歌う、硬い子音はまるめて歌う、子音のリエゾニング)や、音楽的な歌い方など、バーバーショップらしい英語の歌い方を中心に、コーチを受けました。

最初は2・3回のコーチングの筈でしたが、ゲイリィのコーチ内容が素晴らしかったうえに、米国人らしからぬ控えめな人柄にも惚れ込んでしまった東京バーバーズは、その後10年に亘ってコーチをお願いし、ゲイリィも「東京バーバーズは、昔のバーバーショップ・コーラスの家族的な雰囲気が残っている稀有なコーラスだ。」といって11年間で20回近く、金曜に来て日曜に帰るというハードなスケジュールで来日して、東京バーバーズを育ててくれました。(Kaz 松村)